企業の場合、ソーシャルメディアと直接向き合う部署は、多くの場合マーケティング部や広報・PR部というセクションになります。
現在多くの企業がソーシャルメディアを利用し、情報提供やサービス、製品化に活かす方策を探っています。リスクマネジメントについては専任を置くのでなく、利用する各々の部署の担当者がガイドラインを作成する取組みが中心です。
ソーシャルメディアガイドラインは、誰が誰のために作るのか
ガイドラインの策定に当たっては、利用する部署が中心になってプロジェクトを組織し、「ガイドライン策定委員会」のような形で進めるのがよいでしょう。
その理由は、ソーシャルメディアを利用する当該部署が中心となり策定する方が、その後の運用がスムーズにいくためです。
進め方としては、ソーシャルメディアに対するスタンスから全体の「行動規範」や「コミットメント」を公表し、会社の立ち位置を明確にします。当該部署は、それに沿ってガイドラインを作成・運用するのがベストです。
ソーシャルメディアの特徴は、誰もが容易に情報を発信し、多くの情報を入手できる点にあります。
しかし一方で、不適切な投稿が発信者の予期しない問題を引き起こし、会社に大きな影響を与えるケースが増えています
「不適切だ」「いったいどこの社員がこんな投稿をしているのか」といった声は、SNS利用者や顧客から寄せられるケースがほとんどです。
こうした現状をよく認識し、SNSや顧客の声と接点を多く持つ部署が中心になって策定に当たるのがベストです。策定からその後の運用までを考え、適切な対応を取れる部署が中心に座るのが良いでしょう。
次に大事なことは、企業の場合はどういう立ち位置でガイドラインを作るのがよいのか、よく考えることです。
ソーシャルメディアガイドラインは「社員を守るため」に作る
明確に「社員を守る」ために作るのだという考え方、「企業を守る」前にまず、社員の人生を不幸から守るために作るという考え方が必要です。企業を守るため、というのが第一に来るのは誤りです。その理由は後で述べます。
企業の場合、社員の教育や就業管理をしているのは、人事や総務、法務といった部署です。これらの部署は、ソーシャルメディアの利用、SNSの利用、実態把握という点で、日本では理解や認識の面で後れをとっています。
人事や法務はSNSからはとても遠い位置にいる部署ですが、ソーシャルメディアガイドランでは、社員を管理する人事部、総務部が策定に関わることが、とても大切なのです。
その理由は第一に、就業規則や内規、一般法令を熟知する立場として、策定段階でアドバイスできる点です。利用部署が中心となる委員会のオブザーバー的立ち位置です。
第二に、ガイドライン運用開始後において、適正に運用がなされているかどうかチェックすることも、人事担当者の大事な仕事になるかもしれません。
現在では多くの企業が、何らかの形でソーシャルメディアを活用していますから、会社全体を見渡す立ち位置にある人事労務担当がガイドラインを「観る」意味は大きいのです。
こうした点も踏まえて、企業でどこの部署が関わっていくのがよいのか、よく考えることが必要です。